たまたま行ったお店の駐車場で陶器市をやっていたので、大喜びで立ち寄った時のことです。
全国の陶器が集まっていたのでそれはそれは心が弾みました。
前から急須を探していたのですがなかなか気に入る物が見つからず、なので急須を中心に見て回っていたんです。
すると目に付く一口(一個?)があって、手に取った瞬間
「これは、パノラマ急須だから!知ってる?」
と、低くてすごくハスキーな声が聞こえてきて。
え、私?と顔を上げると、どうやらここのお店のおじさんが、別の人に話しかけていたみたいでした。
「あ、さっき別の人に言ってたの聞いたんで」
と女の人がさらっとかわすもお構いなしにもう一度話し始めるおじさん。
「あ・の・ねぇ!お茶ってどこから来たか知ってる?中国だよ!そりゃ〜中国は雑だけど、お茶を作らせたら日本人でも敵わないんだよ。日本はものづくりが上手でしょ?…ってそこ!あんたも聞いていかんかーーー!!」
みたいな感じで、来る客全員に話しかけていたので、私はソーーっとその場を抜けて、会話に巻き込まれないうちに離れて…
でも興味あるお話しだったので近くから聞き耳を立てていました(だってこの親父ちょっとめんどくさいんだもん笑)。
親父は続きます。
「お茶を飲むなら茶こしを使うのをや・め・な・さい!それを使うだけでねぇ〜お茶の成分、ここに書いてあるでしょ?この%の分!これ見て!これだけ取れなくなっちゃうのよ!愛知はねぇ〜お茶有名なの、知ってる?良いお茶飲まないと、日本人としてダメだよ?だから茶こしは絶対に使わないでほしいのよ!これはね、愛知の常滑焼の急須。だから、ちゃんと考えて作られてるの!それでね…」
話しが長くなりそうなので、別のところを見に行きました。
でもこの親父、とっても癖が強くて皆早くに退散してたけど、私は常滑焼の急須とやらで、栄養分を逃さないおいしいお茶を飲みたくなったのです🍵
で、ひと通り回ってもう一度急須を手に取り見ていると、案の定親父がやってきて。
「パノラマ急須って言うのは…」
と(始まった!!)。合間で質問するも声が届かず(自分の話しに夢中すぎる)、なので声を大きくして
「掃除、どうするのっ!!」
と聞いて、
「あんた、台所のシンクがサビないのはなんの素材だからだと思う?ステンレスだよ!あのね、急須に食器洗剤は使わないでほしいの、どうしてもって時は、重曹は汚れが落ちるからオススメ!だけど洗剤はダメ。だからと言って茶こしは…」
終始この調子で、じゃあ結局水洗いなのか?肝心なソコを、上手く聞けずにおわりました(笑)
しかも私が2つ手に取って悩んでいると(やっぱ青かな〜)
「あぁ〜青は、なんか今一番人気だけどね。やっぱり一番は、白がいいよ!だって何にでも合うじゃない。うん、そっちだよ!!」
と、親父のセンス(半ば強引)で買ったのは、
常滑焼の、白い、パノラマ急須です。
これがパノラマらしい
他に回って買ったのは美濃焼の小鉢です。
後日、職場の向かいのデスクの人(愛知出身なんだけど)に聞いたら、「常滑焼」のワードにはピンときていなかったけど、常滑市と、なぜか「トコナX」は知っているようで。
認知度は、低いのですかねぇ。私も、漢字見ただけではトコナメって読めなかったかもなぁ。
でも。
この白い急須がうちに来るまでに、本当は素敵な話をしているのに癖が強すぎて皆逃げてしまうという親父のエピソードが加わって、私の中ではなんだか少し特別な物となったのでした。
これだけ熱弁されたら、美味しいお茶を、ちゃんと飲もうと思えるし。
大切に使おうと思います。